クライミングシューズを分解してみた。

基本的に山に行ったことしか書いていないガイド日記ですが、今日はクライミングシューズの構造に興味がある人向けの内容です。

クライミングシューズをバラせるところまで分解してみました。

分解したスカルパ・インスティンクトのパーツ一覧。靴紐はちぎれて廃棄したので写真には写っていませんが、靴紐を含めると16個のパーツで構成されています。

一部、分解できなかったパーツも含めるとそれ以上あります。

 

足を包み込むスエードレザーのパーツ。

足に合わせて立体的な構造にするために5個のパーツから構成されています。

よく見ると革の縫製部分に小さな凹凸が何箇所もあることに気が付きました。

③の大きな凹凸が1箇所、それ以外に小さい凹凸が9箇所あります。

凹凸を合わせながら縫い上げることでズレが生じないよう工夫されていたんですね。

①〜⑩まで2箇所づつ数字を付けている部分が縫い合わせる際に対応する部分です。

 

なぜ靴底部分のパーツを2つに分けているのか?

コスト削減の為にはパーツは少ない方が良いはずですが、縫製していく順番を考えてみて答えが分かりました。

革のパーツを1つづつ丁寧に縫製して足に合わせた袋状にしていくと、靴底の2つのパーツを分けておかないと最後に袋状に閉じることが出来ないからです。

 

これがインスティントに使われているシャンク。

厚さは1mm程度で想像よりも薄いです。

不織布のような繊維をプラスチック素材で固めたような質感です。

 

左の白いパーツがシャンク。

右の黒いラバーがインスティントに使用されているBi-tensionシステムのラバーです。(ちぎれてしまったのでセロハンテープで貼り合わせてあります)

 

本国イタリアのSCARPAホームページから拝借。

Bi-tensionシステムのイメージ画像。

 

シューズの剛性を出そうとしてシャンクを分厚くしてしまうと、つま先や足裏の感覚は損なわれてしまいますが、インスティンクトの場合はシャンクをbi-tensionシステムのラバーで曲げることにより、1mm程度の薄いシャンクでありながらつま先や足裏の感覚を残しつつ剛性を出すことが出来ます。

 

靴の横に見えているラバーの継ぎ目部分がBi-tensionシステムの一部です。(黄色い括弧の部分)

 

一番最初に買ったスカルパのクライミングシューズがこのインスティンクト。つま先に穴が空いて破れるまで使いました。

実際に分解して見て、丁寧に仕上げるために製造過程で多くの手間が掛かっていることがよく分かりました。

ありがとう、インスティンクト!